5月のゴールデンウィークまでスキー場が営業している志賀高原(※)ですが、スキー場の営業が終わっても、ゆっくりおやすみ……というわけにはいきません。6月から本格的に始まるグリーンシーズンへ向け、志賀高原内の各事業社や団体、組合がそれぞれ、ウィンターシーズンの片付けや環境整備を実施しています。
今回は活動をしている団体の中のひとつである、志賀高原ガイド組合の方にお話を聞いてきた様子をお伝えします。
(※)スキー場の営業は各スキーエリアの雪の状況により前後します
グリーンシーズン準備作業とは?
志賀高原には、たくさんの遊歩道や探勝コース、登山道があります。6月からは新緑の時期ということで、ハイキングを楽しむ人が増え、本格的なグリーンシーズンが始まります。
これらの春の山道環境整備を含む作業を、現地では「グリーンシーズン準備作業」と呼んでいます。
志賀高原では5月でも遊歩道にまだ雪が残っています。歩道に残る雪をスコップで割るなどして、歩行できる状態にすると同時に雪解けを促進させる雪割りから作業が始まります。
この春の時期には冬期に抜いていた看板の設置作業や、遊歩道・ベンチなどの修繕作業もあります。雪の重みで看板が倒れてしまったり、降雪で木道やベンチの腐食が通常よりも早かったりと、たくさんの苦労があるということでした。
雪の影響は大きく、限られた春~秋の期間で遊歩道の整備に取り組まれています。
実際にどんな作業をされているの?志賀高原ガイド組合の作業の様子
現在の志賀高原ガイド組合は、20名ほどのスタッフが在籍しています。ガイドのお仕事以外にも、ゴミ拾いやパトロール、遊歩道点検といった整備を行っています。
今回は木道の整備とベンチの入れ替え作業に同行させていただくことができました。
木道整備
まずは木道の整備です。木道のスリットと呼ばれる滑り止めの機能を持つ木がボロボロになっていたため、こちらの取り付けを行いました。
一つ一つ手作業で取り付けをしていくとても根気のいる作業でした。安全に歩けるのは、このような地道な作業があることを改めて感じました。
ベンチの入れ替え作業
大自然の中で、ベンチがあるとつい座って一休みしたくなりますよね。志賀高原にも遊歩道や、自然公園などにベンチが設置されていますが、冬の間は片付けられており、春の時期に再設置の作業を行うということでした。
ところが、冬の間に腐食が進んでしまった椅子もあり、このままでは安全に使えません。
腐食した木材を撤去し、新しい木材を搬入、組み立て作業を行いました。
一つ一つの木材もとても重いのですが、男性スタッフが中心となって慣れた手つきで作業が進んでいきました。
作業後のベンチです。安全でとても綺麗なベンチが設置されました。
志賀高原ガイド組合の山中さんのお話をお聞きして
東京出身で、スキーと山が好きで長野県に移り住んだという山中さん。志賀高原でのガイド歴は8年ほどということで、「グリーンシーズン準備作業」の際にも、毎年の降雪量の違いや、植物の芽吹きの時期が徐々にずれてきているという事を肌で感じているそうです。
「グリーンシーズン準備作業」については、【6月の新緑の一番気持ちの良い時期に皆様に歩いてもらえるように】という気持ちで、短い期間に集中して頑張って作業されているとのこと。志賀高原の貴重な自然環境にダメージを与えないように作業を行うため、重機の入れない場所まで重い木を持って何往復もしなくてはならないこともあったりと大変なことも多いということですが、ハイカーさんに「歩きやすかったよ」「お疲れ様」と声をかけてもらえるのが何よりも嬉しいということでした。
最後に
今回は、このような活動により美しい自然が守られていることを改めて知る、貴重な機会となりました。一つ一つ地道で大変な作業が、昔から当たり前に行われているというお話もお聞きし、志賀高原の人々の間には「自然と共に生きる」という意識が根付いていることを実感しました。
国立公園であり、ユネスコエコパークにも指定されている志賀高原。いつまでも美しい自然を守り、共存しながら楽しめるよう、ぜひ皆さんも来訪される際には、マナーを守って楽しんでくださいね。
- 関連リンク
- 志賀高原の自然保護活動